ライターをそのまま捨てると違法？廃棄物処理法や失火罪で問われるリスクとは

使い終わったライター、どうしていますか？「燃えないごみかな？」と何気なく捨ててしまうその行為が、火災や爆発事故、さらには刑事責任を問われる可能性という重大なリスクをはらんでいることをご存知でしょうか。

この記事では、ライターの不適切な処分が引き起こす法的な可能性のある罰則から、全国で多発するごみ収集車火災の実態までを中立的な情報に基づいて解説します。

ライターの不法投棄が招く法的リスクと影響

不法投棄による刑事責任とは？失火罪や重過失失火罪

失火罪は過失で火を出し他人の建物などを焼損した場合に成立し、50万円以下の罰金が科されます。

注意義務違反が著しいと評価されると重過失失火罪となり、3年以下の拘禁刑または150万円以下の罰金に加重されます。

これは刑法116条および117条の2が根拠条文です。

また、廃棄物処理法は「みだりに廃棄物を捨ててはならない」と定めており（同法16条）、これに違反すると5年以下の拘禁刑または1,000万円（法人は3億円）以下の罰金という、非常に重い罰則が科されます（刑罰は第25条、法人には第32条の両罰規定が適用）。

ライターを不適切に捨てて火災を起こした場合、「不法投棄」と「失火」の双方の観点から責任が問われることがあり、結果として処分が重くなる場合があります。

不法投棄による民事責任とは？損害賠償の可能性

火災により隣家が焼損した、収集車が損壊したなど第三者に損害を与えた場合、民法709条の不法行為責任に基づき、被害額を賠償する民事責任が生じます。

実際に、国民生活センターにもライターが原因とみられる製品からの発火・発煙事故が報告されており、消費者への注意喚起が行われています。

ごみ収集車の火災では車両修理費用に加え、作業員の休業補償や処理施設停止による損失など、被害が高額化しやすい点が特徴です。

自治体は原因物を特定するため防犯カメラ映像や車載ドライブレコーダーを解析するため、加害者が特定され損害賠償を請求されたケースが全国で報告されています。

実際に捜査されるケースと影響 警察・消防の調査と事例

徳島市では令和7年4月に収集車火災が発生し、消防と警察が現場検証を実施、中身が残ったライターが原因物として特定されました（出典：徳島市）。

鴻巣市でも令和7年4月に同様の火災が起こり、消防がライターとスプレー缶を特定しています（出典：鴻巣市）。

火災の規模が大きく、公共の危険性が高いと判断されれば、廃棄物処理法違反や重過失失火罪で書類送検される可能性があります。

捜査は、1. 現場検証、2. 原因物の特定、3. ごみ集積所の利用者や近隣住民への聞き取り、4. 防犯カメラ解析といった流れで行われ、加害者の特定には数日～数週間かかる場合があります。

火災の危険性とその予防策

不適切なライター処分が火災を引き起こすメカニズム

収集車は荷箱内でごみを強く圧縮するため、残留ガスが入ったライターが圧力や摩擦熱で破裂し、充満した可燃性ガスに電気火花などが引火すると爆発的な燃焼が発生するのです。

直射日光下の駐車場や処理施設のピットでも同様の危険があり、条件次第で車内50〜60℃超、ダッシュボードは70℃台に達する実験結果もあります。

火災を防ぐためのライター取り扱い注意点

1.ガス抜きは必ず屋外の風通しが良い場所で実施し、火気や静電気を避ける。

2.レバーを輪ゴムで固定し、屋外で噴射音が止まるまで放置する。

3.保管時は高温になる車内や直射日光下を避け、幼児の手が届かない場所に置く。

4.引越しや大掃除などで一度に多数のライターを処分する場合は、事前に自治体へ確認のうえ危険ごみ回収拠点や許可業者を利用する。

ライターの適切な捨て方と処分方法

処分前の必須作業 ガス抜きの推奨手順を解説

以下は使い捨てライターの標準的な一例のガス抜きフローです。最終的にはお住まいの自治体の指示を優先してください。

注入式ガスライターやガスボンベは、バルブを押しながら逆さにして放置するのが基本です。 ガスを抜いた後のボンベは市区町村指定のスプレー缶回収日に出します。

自治体によって異なる ライターの捨て方ルール

自治体によるライターの分別区分は大きく「燃えるごみ」「燃えないごみ」「危険ごみ」「資源ごみ」に分かれます。

お住まいの自治体名と「ライター 捨て方」で検索すれば公式ページが見つかるので、処分前に必ず確認してください。

使い捨てライターの具体的な処分手順

1.ガス抜きを実施。

2.完了後、新聞紙に包んで「危険ごみ」「有害ごみ」など、自治体が指定する文字を記載する。

3.指定日の朝に収集場所へ出す。前夜に出すと、子どもや動物が触れる危険があるため避けましょう。

4.まとめて処分する場合はごみ袋を二重にし、破裂音がしないか軽く踏んで確認する。大量の場合は事前に自治体へ相談。

処分量が多い場合や不安がある場合は、ごみ処理施設へ直接搬入するか、民間の回収業者を活用しましょう。 一部の不用品回収事業者は、ライターを含む危険物のまとめ処分に対応しています。

よくある疑問を解消：ライター処分Q&A

ライターを捨てて捕まるケースに関するQ&A

・少量でも捕まるのか：少量でも火災や環境汚染を生じさせれば廃棄物処理法違反となり、刑事罰の対象となる可能性があります。量よりも、行為によって生じた結果と社会的影響の大きさで判断される点が特徴です。

・収集車火災は誰が弁償するか：原因者が特定されれば、自治体から修理費や休業損害などを請求されます。近年は防犯カメラの解析技術が向上し、特定される事例が増えています。

まとめ：適切な知識で安全なライター処分を

ライターを不法に捨てると、廃棄物処理法違反による5年以下の拘禁刑や高額な罰金、さらに失火罪・重過失失火罪が加わる場合があります。

消費者庁も公式サイトで「ライターは、中身を使い切り、ガスを抜いてから、各自治体の指示に従って捨てましょう」と呼びかけています。

ガス抜きと自治体ルールを守れば、火災や捜査の対象となる事態を防ぐことができます。

この記事で紹介した手順と公式情報を参考に、必ず安全な方法で処分しましょう。

【参考情報（出典）】

・徳島市「ごみ収集車の火災が多発しています！」（2025年4月17日更新）

・鴻巣市「ごみ収集時にライター等を起因とする火災事故が発生しました」（2025年4月14日更新）

・東京消防庁「誤ったごみの分別により火災が発生！」（ごみ収集車・施設の火災事例・統計）

・川口市「ごみ収集車やごみ処理施設で火災が発生しています」

・佐賀市「使い捨てライターの出し方（ガス抜き）」（手順の一例）

・相馬市「使い捨てライターの出し方」（手順の一例）

・JAFユーザーテスト「真夏の車内温度」（車内50〜57℃、ダッシュボード70℃前後の実測あり）

・国民生活センター「ライター—使用後の残り火や保管場所に注意」

・大阪市「普通ごみ収集（ライターの扱い等）」

・京都市「燃やすごみ（ライターはガスを使い切り、水につけてから）」

・奈良市「Q2 ライターはどのように捨てればよいのですか？」

・消費者庁リーフレット（ガス抜き・自治体ルールの順守を呼びかけ）

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（本記事は2025年9月時点の情報に基づき記載しています）