マッチの超基礎知識。誕生の歴史や時代を彩ってきたマッチラベルを紹介

火をおこすことが難しかった時代、マッチの誕生によって人々は手軽に、明かりと温もりをともすことができるようになりました。その懐かしい香りは、今なお愛煙家の心を掴んでいます。今回は、そんな喫煙のひとときを提供し続けるマッチの世界を解説します。

マッチの歴史

1827年、イギリスのJ.ウォーカーが、マッチ棒の先端部分である頭薬に塩素酸カリウム、硫化アンチモンを使用した「摩擦マッチ」を発明したことがきっかけで、マッチは生まれます。火をおこすのに手間を要したこの時代、マッチの誕生は画期的でした。当初実用化されたマッチは、頭薬に黄リンが使用された「黄リンマッチ」でしたが、これにはどのようなものとでも摩擦が発生し、火がついてしまうという特徴がありました。

その後19世紀になり、マッチの頭薬をマッチ箱の側面にあるヤスリ状の摩擦面ですらないと発火しない「安全マッチ」がスウェーデンとドイツで開発されます。この「安全マッチ」は現在まで、世界中で使われるもっともポピュラーなマッチとなりました。

日本で本格的にマッチの製造が始まったのは、1875年。日本のマッチ工業の父、清水誠がフランスで製造技術を修得し、東京に設立した新燧社(しんすいしゃ)でマッチの製造を始めました。その後、輸出にも成功するなどマッチ製造は発展を遂げ、マッチは日本人の生活に欠かせないものとなりました。

さまざまな時代を歩んだマッチラベル

国産化を契機として、我が国の重要な輸出品となったマッチ。商取引の重要なカギとなったのが、マッチラベルのデザインでした。最初に発売されたころのデザインは、一度刷りで地味なものでしたが、1897年ごろからは二色刷りや多色刷りも誕生。デザインに関しても、輸出先のニーズに合わせて独創的なものや世情を反映したもの、日本の伝統文化を取り入れたものなど、多様なマッチラベルが世界市場で人気を博すようになりました。

また、デパートやフルーツパーラー、喫茶店、カフェ、旅館、ホテル、そして企業のマッチなど、宣伝つきのマッチも続々と誕生。限られた四角いパッケージの中で工夫をこらしたデザインにキャッチコピーが印字され、おしゃれな広告媒体として利用されていったのです。

明治時代のマッチ

日本でマッチの製造が始まった当初は、舶来品を崇拝する傾向があり、スウェーデンやアメリカ、イギリスなどのマッチラベルを模倣することも多かったようです。マッチの品質はともあれ、見た目の良さが求められていました。写真は上がスウェーデン製、下が模倣デザイン。

(写真提供:マッチの世界)

(写真提供:マッチの世界)

殖産興業・富国強兵というスローガンで、近代国家建設を進めていた当時の世相を反映したマッチラベル。日の出や軍旗、軍人像などが戦争を連想させるモチーフが描かれました。

(写真提供:マッチの世界)

(写真提供:マッチの世界)

西洋から伝えられた文明の利器を描いたものも多く存在します。

(写真提供:マッチの世界)

大正~昭和のマッチ

明治以降、江戸時代の呉服屋から大規模店舗に発展したデパートも、マッチラベルを宣伝に活用していました。フルーツパーラーの先駆けである千疋屋のマッチラベルには、商品のフルーツがあしらわれています。

(写真提供:マッチの世界)

(写真提供:マッチの世界)

(写真提供:マッチの世界)

(写真提供:マッチの世界)

人々の生活が豊かになった大正以降、観光旅館やホテルが続々と誕生。それを受けて、観光名所やサービスを宣伝するためのマッチラベルも多数つくられました。

(写真提供:マッチの世界)

(写真提供:マッチの世界)

現代のマッチ

現在でもコレクターが存在するほど根強い人気を誇るマッチ。その形は箱型だけでなく、アルミ缶や瓶など多岐に亘り、デザインの幅も広がっています。パッケージの底に摩擦面を配したものなど、現在販売されているさまざまなマッチを紹介します。

長年たばこのベストパートナーとして、多くの喫煙者に利用されてきたマッチ。その歴史を紐解いてみると、当時の世相を反映しながら多様に発展していった様子がうかがえます。

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