ライターの代名詞「ZIPPO(ジッポー)」の歴史を探る。

オイルライターの代名詞である「ZIPPO(ジッポー)」。愛好者は多く、雨風が強いハードな環境でも着火する姿は、タフさのアイコンとして不動の人気を確立しています。今回はZIPPOの生みの親ジョージ・G・ブレイズデルの波乱万丈の人生とともに、ZIPPOの歴史を紹介します。

「ちゃんと火がつく」ライターの価値は高い

1929年に始まった世界恐慌の真っ只中、のちにZIPPO(ジッポー)の生みの親となるブレイズデルは、モータリゼーションの伸長によって景気がよかった石油事業も所有していた油田が尽きかけてしまい、あわや破産寸前に追い込まれていました。

ビジネスチャンスを探していたブレイズデルは、ある夜、地元の名士が集まるパーティーに出席したところ、 オーストリア製のオイルライターでたばこに火をつけるのに手こずっている友人を見つけました。 その友人が使用していたオイルライター は、着火の仕組みや耐久性に難があり、着火すら安定しませんでした。

ブレイズデルは「なぜもっといいライターを使わないんだ?」と尋ねました。すると、彼は「It works! (火が付けばいいんだ!)」と答えました。 ブレイズデルはこの言葉にビジネスチャンスを見出し、友人が使っていたライターの製造元であるオーストリアの会社と交渉のすえ、見事アメリカでの独占販売権を獲得しました。

そして、ブレイズデルが難点だと思っていた安っぽさを改善すべく、ライターのボディをクロムメッキで高級感を出したモデルの価格も、25セントから1ドルに引き上げます。

ところが、このライターはまったく売れませんでした。機能面でも不満だったブレイズデルはライターの開発に着手したのです。

「ZIPPO (ジッポー) 」の誕生

ブレイズデルは、自動車修理工場の2階を間借りし、中古の工作機械を運び込み、新しいライターの開発に心血を注ぎました。ブレイズデルは、オーストリアの会社と独占販売権を結ぶなどビジネスマンとしての資質がありましたが、少年時代から父親の経営するドリル製造工場で見習い機械工として修行を経験するなど、モノづくりの技術も持ち合わせていたのです。さらに、アメリカ開拓時代から続く職人魂もその修行の過程で学び取っていました。

ZIPPO (ジッポー) ライターのコンセプトともいえる「火がちゃんとついて役に立つ、長い間使える」といった機能性や耐久性での課題点を、ブレイズデルは独自の創意工夫で次々に解決していきます。

ZIPPO (ジッポー) の特徴1「キャップと本体を一体化」

オーストリア製ライターはキャップと本体が二つに分かれるものでした。そのため、着火する際はキャップを持っていなければならず、手がふさがってしまい操作がしづらいことが難点でした。

そこでブレイズデルは、キャップと本体をヒンジ(蝶番)によって一体化することで、キャップを開けても本体から離れることなく、片手で着火できる便利な構造にしました。

ZIPPO (ジッポー) の特徴2「風に負けない火をつくる耐風ガード」

オーストリア製ライターには耐風ガードという目をみはる画期的な機能がありました。火口部分に設けられた金属製の目隠しに小さな穴がいくつも開いている耐風ガードです。しかし、オーストリア製のライターは取り付け位置の精度が低く、その役割を十分には果たしていなかったのです。

そこに目をつけたブレイズデルは、扇風機の前に立ち、たばこに火をつけられるかの実験を繰り返し、その度に耐風ガードを修正しました。ついには、扇風機の風を真正面に受けながらも見事に1回で着火に成功するに至ったのです。

これにより世界的にも有名なライターの代名詞ともいえる「ZIPPO (ジッポー) 」が誕生しました。

「ZIPPO (ジッポー) 」の思想を体現する永久保証

ブレイズデルは、革新的な製品であるZIPPO (ジッポー) を売るには、常識的な方法では不十分だと考えていました。そのため、当時のライターでは考えられなかった「永久保証」を付けたのです。理由はなんであれ、壊れたZIPPO (ジッポー) を無償で修理する制度を設けたのです。その「永久保証」制度は、現在も変わることなく続いています。

まさに、ZIPPO (ジッポー) の永久保証制度は、「ライターはちゃんと火がつくこと」こそが価値と考えるブレイズデルの思想を体現している制度ではないでしょうか。

ZIPPO (ジッポー) の誕生の裏には、ライターへの燃えるような情熱を持った一人の人物の苦闘のドラマがありました。名高い永久保証制度に支えられ、耐久性と信頼性に秀でたZIPPOライターは、ライターの代名詞として世界中で定着していきます。

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