内田監督に聞く所作の裏側(後篇)
所作の裏側
Vol. 6
Special
内田監督に聞く所作の裏側(後篇)
更新日: 2020.04.29
映画は戦いだよ、闘争だよ。
俺たちがなんとかしないと、
日本映画はだめになっちゃうよ。
「釜山映画祭に行ったとき、会場の近くで何か事件があったようで、乗っているタクシーが足止めされて動かなくなってしまったことがあるんです。運転手が現場の整理をしている警官に大声で、どうなってるんだ。どこから行けばいいんだよ、と話している。それを見ていると、まるでコミカルな映画の場面のようだと思いました。彼らの日常は、実体験で怒ったりケンカをしたことがない日本の若者像とはかけ離れていますね。ブラジルで感じたのと似ていて、感情が濃いんです」
内田監督は、自作を日本映画ではなく、別の国の映画に見立てて「妄想撮り」をすることがあるという。今、自分が撮っているのは韓国映画だと思うと、感情が爆発する。『全裸監督』でも、日本にこんな人がいたのかというほど個性の強い群像を描ききったことがうかがえる。鉄砲玉のように後先を考えない行動をしてしまう満島真之介さんと、極端な性格ではあるがある意味では冷静な山田孝之さん。ちなみに、村西とおる監督役の山田さんはたばこを吸わず、トシ役の満島さんはいつもイライラしているチェーン・スモーカーに設定されていた。
『獣道』や『下衆の愛』などには、「こういう変な人っているよね」という存在として、でんでんさんが出てくる。 「昔は、ああいう人がたくさんいましたよね。愛すべき、うさんくさいオーラのある人。色んな種類の人がいて世界は成り立っているから、描く必要があるんです。『岸和田少年愚連隊』という映画には、カオルちゃんというおかしなおじさんも出てきました」