品川監督に聞く所作の裏側(後篇)
所作の裏側
Vol. 9
Special
品川監督に聞く所作の裏側(後篇)
更新日: 2020.05.20
毎回、ひとつの方法を試していた。
やっと映画の撮り方が一周した気がする。
ここからが新しい始まりだ。
品川ヒロシ監督は撮っているときに、「撮りたいスイッチが入った」と感じる瞬間があるのだという。それはどんなものなんだろうか。
「WOWOWで放送される連続ドラマ『異世界居酒屋「のぶ」』で、その着火点はセットでした。この話は16から18世紀くらい、中世のヨーロッパをイメージした異世界の都であるアイテーリアとつながってしまった居酒屋が舞台になっているんですが、ヨーロッパにロケに行くほどの制作予算はない。だからといって、それをセットでやったらコントみたいな映像になってしまうんじゃないかと思い、撮影前はかなり不安でした。しかし、できあがった居酒屋と異世界の街並みのセットを見た瞬間、これなら撮れる、と感じましたね」
僕はこれまでの品川監督の映画では、特徴的なアクションシーンに注目していた。映像のコマを抜いた、ダイナミックで速いアクション表現だったり、反対にスローモーションを使ったアクションもあるが、それはアクションシーンだけにとどまらず、撮影技術全般に関してかなりの計算が働いていると思ったのでややマニアックになってしまうが、そのあたりのことを聞いてみたいと思った。